フライヤー
 
MOMOYO THE LIZARD(MOMOYO + ATP)
Live at Shibuya DeSeO 2001.12.29 SET LIST


1. ロボット・ラブ
2. さよならプラスティック・エイジ

3. Dreams Within(Main Theme)/ATP
from the album『[ギルスティン]オリジナル・サウンドトラック』
キティMME(UMCK-1022)

4. Cracked/ATP(available from ATP official web site)
 http://www.atpmania.com

5. 販売機で愛を買ったよ(INSTANT DREAM)
6. 岩石庭園
7. All The Young Dudes(カヴァー)
8. ラザロ
9. 白いドライブ

MOMOYO THE LIZARD are...
・モモヨ(Vocal)
・Mug(Guitar)from ATP
・Kohei(Bass)from ATP
・Taata(Keyboard/Chorus/Vocal)from ATP
・Kazz(Drums)from ATP


AUTO-MODが主催するイベント「DESTROY ALL MONSTERS」シリーズの2001年ラスト、題して「LEGEND OF PUNK ROCK」。出演バンドは当初、AUTO-MOD、LIZARD、ミチロウ、CHIKO HIGE & THE UNIT の4組だったが、直前になってチコ・ヒゲ氏が仕事で足を骨折(全治6ヶ月)のため出演をキャンセル。代わりに元GASTUNKのBAKI率いる#9(ナンバー・ナイン)が出演することになった。
当日の出演順は以下の通り;

●#9
●ミチロウ
(ミチロウ+AUTO-MOD セッション)
●AUTO-MOD
●MOMOYO THE LIZARD(モモヨ+ATP)

ミチロウとAUTO-MODのセッション、とりわけ名曲『ロマンチスト』で会場のボルテージは最高潮に達し、そのままAUTO-MODのステージへとなだれ込んだ。しかしAUTO-MODのステージが終わりLIZARDの登場を待つ時間になると、これまでの拳を振り上げるようなノリから一変、場内にやや緊張感が漂う。13年ぶりのLIZARDのステージを目前にし、オーディエンス側にも期待と不安が入り交じる、そんな感じだろう。時計は午後9時を回っていた。DeSeO独特の、ステージ前面にあるスクリーンが上がり始めたところで、ドラムスのカウントが入りビートを刻む。LIZARDファンなら誰もが知っている『ロボット・ラブ』。スクリーンが上がりきると、ステージ中央にモモヨの姿が現れる。前面に豹の顔がプリントされた黒Tシャツにダークスーツというシンプルな出で立ち。スカーフをマイクスタンドに絡みつけて握っている。1979年ころのライブで1曲目に演奏することが多かったこのナンバー。やや抑え気味のテンポでイントロのビートを刻む。それぞれのパートの音はかなりハードでラウドだったAUTO-MODに比べるとわりと抑え気味か。モモヨの第一声「コウバデノオレハ・・・」はやや緊張気味でメロディ・ラインを探るような出だしだったが、すぐに曲に溶け込んでいった。間奏後、3番の歌詞に入ると声の調子が更に強まった。気が付くと私はコーラス部分「ローボーットラーブ!」を口ずさんでいた。ATPはMug(ギター)もKohei(ベース)も最後までコーラスをとらなかった。モモヨはステージ中央で、体をやや斜めに構えマイクスタンドをつかむ独特なポーズでヴォーカリスト・モモヨを表現していた。ビデオ『ロッカーズ』でのモモヨと同じだ。時折、手ぶりで歌の内容をジェスチャーで示すといったパフォーマンスもあった。『ロボット・ラブ』では「冷蔵庫の中のカノジョ」を演じているような仕草を見せた。この曲は、5人編成期はイントロから特徴のある重厚なシンセサイザー・サウンドが響き、4人編成になってからは12インチ『LIZARD III』に収録されているヴァージョンのように、ベースが独特のラインをとり高速Versionになっていった。今回はATPのVocal、TaataがNord Leadでシンセサイザーを担当しているので、どちらかと言えば5人編成期のアレンジに近い。ただコウが奏でていたミラクル・サウンドと比べてしまうと若干寂しい、なんてことはどうでもいいですね、セルフ・カバーしてるわけじゃないわけだし。間奏部分はギターが担当していたオリジナルのメロディはなく、シンセの反復とギターのバッキングとなった。

『ロボット・ラブ』の後はそれほど間をあけず、ギターのカッティングから『さよならプラスティック・エイジ』が始まった。(オリジナルVersionはシンセから始まる。)こちらもリズム隊が走ったりせずじっくり聴かせようというテンポだった。今回のATPはベースがしっかりと曲全体を支えていたので、まとまっていた印象がある。やはり自ずとコーラス部分の「グッバイ・プラスティックエー(ジ)」を口ずさんでいた。音数が少ない曲だけに、シンセがNord Lead一台ではややパワー不足に感じた。
2曲が終了し、ここで初めてモモヨのMCが入る;

「新しい、21世紀型LIZARDです。えっと、みんなもわかってると思うけど、今一緒に演ってくれてるのがATP。そのATPと俺が一緒に『ギルスティン』っていうアニメをやったんだけど、その中の曲。とりあえずATPです・・・」

MCの後、モモヨはステージから去り、残ったATPの4人でまず3曲目として『ギルスティン』の1曲目『Dreams Within (Main Theme)』、続いてインターネット上で公開している曲『CRACKED』を披露した。モモヨがステージからいなくなった時、ひょっとしてLIZARDの曲はこれでおしまいか!?と危機感を持った人もいるのでは(笑)?『Dreams Within (Main Theme)』はアルバム収録Versionと大きくアレンジを変えていた。スタジオ録音されたATPの曲は、Vocalにほどよいエコーがかかって浮揚感が漂っていて良いのだが、ライブでは同じような感じが出にくいようで、声にもうちょい表現力が欲しい。『CRACKED』もスタジオVersionの方がカッコいい。スタジオの方は全体にオーバードライブをかけたような歪み感がイイ感じなので、ライブでの表現法を追求して欲しいところ。
それから堅苦しく聞こえるかもしれないが、LIZARD(モモヨ)のステージである以上は途中2曲といえどもモモヨがステージから去るようなことはして欲しくないと強く感じた。つまりモモヨの持ち時間だからと言って自らがプロデュースしたバンドとはいえ別のアーティストに演奏させるのは、モモヨのステージを見に来たオーディエンスに対してちょっとどうかな?ということ。次回のライブでは、ATPをちゃんと一出演者としてステージの時間を設けて欲しい。

話を元に戻すと、ATPの2曲が終わったところでモモヨ再登場。MC
「ちゃんとやるから安心してていいよ」
でやや雰囲気が和んだ。続いて5曲目は『販売機で愛を買ったよ』。曲の出だしでベースがちょっとミスったようだったが特に問題なし。この曲がライブで演奏されたのはかなり珍しいのでは?「♪お湯を注いで3分待つだけ♪」のところでモモヨがお湯を注ぐ手ぶりを見せたりもした。

続いて間を置かず、ギターのアルペジオからモモヨの曲紹介「ザ・ガーデン・オブ・ロックス!」で『岩石庭園』が始まった。前の3曲に比べてこの曲はより一層「今のLIZARDの曲です」という感覚になれるほどハマっていた。

ここでモモヨのMC
「えっと、次の曲はちょっとマジメに他人の曲をやってみました」
ギターがセッティングに手間取っているのを見て、
「ちょっと解説。ロンソンとフレディとボランの歌です」
曲名紹介はなく、そのままドラムスのカウントから入った曲は、MOTT THE HOOPLEの名曲でDAVID BOWIE作『ALL THE YOUNG DUDES』(すべての若き野郎ども)だった。モモヨがどんな思いでこの曲をセレクトしたのか、なんて考えながら聴いた。特に変わったアレンジ等はなく、ほぼオリジナルに忠実なカバーか。ロンソンはわかるがなんでフレディとボランなんだろう?と思ったが、改めて歌詞を見れば納得(汗)。ちなみに歌詞の訳は何種類かあり、それを比較しながら再度翻訳に挑戦した個人サイトがあったのでこちらにリンク。「俺たちは一晩中あいつの自殺について語りあっていた/あいつは25歳の時に強い薬を頭に打った/ヘロインだった/・・・」。モモヨのVocalは、高音部分がつらそうではあった。アンサンブルも今イチだったかも。

続いてアルバム『岩石庭園』から『ラザロ』。この曲がこの日のライブのベストだったと思う。モモヨの表現力がこの日のステージの中で最高点に達した部分だろう。『ラザロ』はライブ初披露かもしれない(by kei3さん)とのこと。

ここで最後のMC
「今日はもう次で最後だけど、『白いドライブ』」
セッティングの間を持たせるため
「ちょっと待っててね。次は何かな〜」
と言った後
「さっき白いドライブって言ったよね(笑)」
という場面も。ダークな雰囲気漂うベースのリフから始まる。リフはどうやらオリジナルとはちょっとアレンジを変えていたようだ。テンポは遅めで、ドラムはリムショットで静かに始まる。モモヨのVocalもかなり力が入り、顔を紅潮させシャウトするところもあり。力み過ぎてVocalがちょっと走り気味になるとこともあった。静かに入ったギターは次第にノイジーなディストーション・サウンドに変わっていった。抑揚をつけた『白いドライブ』は、最後はノイズ大会でモモヨがステージから去ると、ギターのMugはアンプにギターをこすりつけフィードバックを出し続けていた。一応、曲が終わりまばらな拍手が鳴るが、すぐにアンコールを求めるというよりも、オーディエンスもホっとした感じか。ちょっと間をあけて(というか私が「アンコール!」と言い出したからか(笑))アンコールを求める声が出て来たが、残念ながらアンコールはなし、アコースティック・ギター1本での歌もなかった。『エイシャ』とか聴きたかったんだけどね。

以上、40分弱のLIZARDのステージでした。総評としては、モモヨはまだ傷が完治しない、リハビリ途中で戦場に復帰した兵士みたいな状態だからベストでないことは当然。今回のライブの最大の意義は「モモヨの意思表示=自分の生の声でうたを伝える」だろう。次のライブからサウンド的にどうだとか、もし新曲があれば歌詞がどうだとか、そういうレベルにやっと立つことになるだろう。かつてLIZARDのライブを見たことがある方々にとっては感慨深いモノがあったかもしれませんが、私のように初めて見る者にとっては極端な話「新人バンド」なわけで、早く新曲を聴きたいです。

★NEXT LIVE・・・3月ころに東京でライブを予定。共演:スピアメン(予定)


<追 記>
そもそもこのイベントにLIZARDが出演するに至った経緯を考える時、2001年1月20日(日)同じ渋谷DeSeOで行われた「DESTROY ALL MONSTERS Vol.2」でのジュネの発言抜きには語れない。珍しく関東地方が大雪となったこの日のライブには、紅蜥蜴〜初期LIZARDでギターを担当していたカツこと塚本勝巳の新バンド「Mid Cambrian Period」が初登場したほか、恒松正敏& VISIONS、CHIKO HIGE & THE UNIT、AUTO-MODの4組が出演した。いずれも"東京ロッカーズ"というムーヴメントと関わりがあったミュージシャンのバンドであるのが象徴的だった。さてこのイベントの2番手として登場したAUTO-MODのステージMCでジュネが「次はLIZARDのモモヨなんかもひっぱりだして、もっとスゴいイベントをやりたい」と発言したのだ。ただこの時点では殆どの人がLIZARDのライブが実現するとは思わなかったはず。イベント終了後の打ち上げで、ジュネと話す機会があったのでモモヨのことを聞いてみたところ、既に電話かメールでコンタクトを取っていたとのことだった。モモヨはジュネに、インターネットが音楽を根本から変えるという自説を展開したらしいが、ジュネにとっては「そうは言っても体張って現実世界でライブをやってナンボの世界でしょ」という思いが強かったようだ。確かに1999年からの新生AUTO-MODはまさに現場主義であり、アルバムを作ってプロモーションをして、、、ということは後回しにして、とにかく数多くのライブをこなし、メンバー・チェンジを重ねながら理想のサウンドの確立に邁進しているバンドだ。この辺は私の推測だが、ジュネとしてはモモヨに対して「細かいことはさておき、一度ステージに上がって生演奏をしてみたら」という思いがあったのではないだろうか。
その後、6月ころになってモモヨが「11月ころにライブをやりたい」とサイトで告知している。この間、モモヨとジュネの間で具体的なライブの話がなされたのだろう。モモヨは6月16日(土)に「DESTROY ALL MONSTERS Vol.4」が行われた渋谷DeSeOを訪れ、AUTO-MODのステージを見ている。ここでジュネから
「いつでも、いってくれれば、昔みたいに俺のバンド、お手伝いしますよ。つかってくれてもいい」(モモヨ日記"弾琴録2001"6月17日より抜粋)
と声をかけられたようだ。つまりLIZARDのライブ再開にAUTO-MODが全面的にバックアップする、ということだ。振り返れば1981年、ほぼ空中分解状態のLIZARDはBASSのワカがAUTO-MODに参加し、LIZARDのバックをAUTO-MODが務めるという時期があった。つまりLIZARDは2度の節目でジュネのサポートを受けたのだ。ここでLIZARD(モモヨ)とAUTO-MOD(ジュネ)が非常に運命的な関係にあることを改めて知った。

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