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フライヤー |
Live at LA.MAMA 2002.03.24 私にとって2度目となる今回のLIZARDのライブ。私の目から見た今回の最大のポイントは初公開となった2つの新曲であり、それから80年代初期まで志向していたパンク的なハイパーな演奏が現在のLIZARD=モモヨにも宿っている、という点だった。 前回2001年12月のライブで見せた演奏が、CDやTAPEで耳にしていた20年前のリザードとはかなり落差があった。あの演奏を現在のLIZARD=モモヨとして受け入れつつ、モモヨが過去にやってきたことを一切無視して「現在」を輪切りにした時に、今どきの勢いのある若いバンドの方がイケてるとも思った。もちろん12月のライブは"モモヨの前線復帰"自体に意義があり、音楽的な部分の"現在のモモヨは?"への回答は今回へ持ち越されていたわけだが、それにしても今回LIZARDを見るにあたってあまり大きなモノは期待していなかったかもしれない。 I【OPENING ACT〜MOMOYO solo】 1. ポピーズ 2. U・TSU・CE・MI(うつせみ) 3. ガイアナ 4. ガレキとガラス 5. セクサス ・モモヨ(Vocal & Guitar) 〜ひさかたの光のどけき春の日に静心なく花の散るらむ 私もモモヨ風文学的アプローチで文章を始めようとしましたが、当然うまくいきませんね(笑)。とりあえずこの歌を置きますね。恐らく"うた"というものがうまれてから歌われているであろう「桜」の美は、咲いている状態よりもはらはらと散っている瞬間にある、と私は思う。紀友則に限らず多くの歌人が、散りゆく桜の短命を嘆く歌をうたったが、それとて最期の美を感じるからこそ歌うのであろう。 そろそろ限界なので(汗)話を進めますと、2002年3月24日、東京・渋谷も異常気象のお陰で例年にない早さで桜が散り始めていた。能や狂言など日本の伝統芸の影響をモロに受けているモモヨの舞台を演出するにはちょうどよい具合だった。 渋谷にあるLA.MAMAというライブハウスは今回のイベント「PRIMAL TONE」を主宰するSPEARMENのホームグラウンド。同じ渋谷のEgg-site(旧エッグマン)同様、デカい柱がフロアの微妙な位置にあってステージが見にくいのが特徴。キャパはオールスタンディングで300名だが、この日は椅子を並べていたので120名がMAX。私は開演10分前くらいに会場入りしたが、柱を考慮しながらポジショニング(笑)に迷い、結局ステージの目の前になる椅子席に着いた。PAスピーカーからの音が聴こえないのでライブハウスでは一番音響が悪い位置。窮屈だしちょっと後悔したが、演奏者の表情がよく見えるってことで、最後までそこに座ってました。 ![]() 定刻よりやや遅れて、スーツにネクタイという地味な格好でモモヨがステージに登場。 「こんばんは。・・・えっと今日は前座で私、ギターのソロというか私だけのソロで何曲かやります」 ホローボディーのFenderテレキャスターを軽く鳴らしながら「さあ、おいでよ・・・」と『ポピーズ』を歌い出した。ヴォーカルがメロディラインを探るような歌い出し。前回ライブで見せなかったモモヨのギター・プレイもどことなくぎこちなかった。インターネットでモモヨが「LIZARDはプロジェクトだ」と発言していたが、言い換えればパーマネント・メンバーによるバンド編成のLIZARDを否定したことになる。もしくはLIZARD=モモヨ。LIZARDが即ちモモヨである以上、モモヨのVo.+Gというこの形態が純粋なLIZARDの要素を表現しうると思った。強靱なサウンド部分を引き抜いたエッセンスだけのLIZARD。強力な瞬間的インパクトはなかったが、詩が素通りせず"残る"感覚。 間を置かずに2曲目の『空蝉』へ。4曲入り12インチ『変易の書〜THE BOOK OF CHANGES』に収録されている。ピッチシフターで1オクターブ上の音を重ねたギターでアルペジオ。メロディを排して低い調子に抑えた声を絞り出すように歌う。この曲はモモヨ自身「般若心経を作品化したようなもの」と言っているように歌詞は和風ながら、時折挿入される軽い英単語(dreamin'、nightmare、nowなど)がミスマッチしている作品。ボーっとしていたらあっという間に演奏が終わっていた。次の曲のイントロをつま弾きながら、ここでモモヨのMC 「昔むかし、中南米のガイアナという国で起きた事件の歌です。ガイアナ」 言わずと知れたLIZARD初期の名曲、パンク・ナンバーと言ってもいいだろう『ガイアナ』。なぜあえて曲紹介のMCを入れたか、モモヨの解説(曲名をクリック)によると集団的狂信が今でも続いている、ということか。原曲のイメージはなく、静かにサラリと歌った。この曲はSPEARMENの演奏でも聴いてみたかった。余談だが「ガイアナの白い夜」についてこちらにも解説がある。 続けて『ガレキとガラス』。アルバム『GYMNOPEDIA』収録のこの曲はメロディ、歌詞ともに私自身とても好きなので、やはりwith SPEARMENで聴きたかった1曲だ。前座を通じてモモヨはシャウトするような唱法は一切使わなかったが、逆にメロディラインがやや不安定で絞り出すような抑え気味の、病んだような声は、うら悲しくまたジワリとくる何かがあった。この曲がまさにそうだった。いや、ただ単に声が出ていないだけだよ、と言われるかもしれないが"地下の水道管を伝わってくるような"というNICOの声に通じるものがある(と言ったら誉め過ぎかな)。細かいところだが、オリジナルの歌詞と一部順番やワードが入れ替わっていたりしたので、このレポートには当日歌った通りの歌詞を掲載した(曲名をクリック)。 「次で最後なんですけど、かなり昔の歌で・・・セクサス」 意外な曲で"前座"を締めくくり、最後に「どうもありがとう」と言い残してSPEARMENにステージを譲った。 II【SPEARMEN】 1. SHEEPUS 2. STIFF 3. THREE 4. BUBBLE 5. HOT TUNA 6. T. M. D. I 7. RESET SPEARMEN are... ・K. MIZUSAWA(Vocal & Guitar) ・R. YANAGIHARA(Bass) ・J. SHINOHARA(Drums) スピアメンを見るのは初めてだった。彼らの1stアルバム『ロスト』をCDで持っている程度で、特に先入観はなかった。モモヨと入れ替わりで3人の男がステージに上がる。坊主頭のベーシストがおもむろにアンプにつないで音を出す。とてもベースとは思えない歪んだ音だった。3人がそれぞれ無愛想に音を出し始めると、つい先ほどまでのステージの雰囲気はかき消されてしまった。 1曲目の『SHEEPUS』。歪み過ぎて下品と紙一重のベースにギターも切り裂くような気狂いじみた音で応酬し、そこにドラムが絡む。メロディアスではないが骨太な演奏。とにかく柳原のベースがLA.MAMAの空気を支配してしまった。まさに先制攻撃。今まで東京のアンダーグラウンドに居続けるこんなバンドに気付かなかったことは迂闊だった。それと同時に、この3人が続くLIZARDの演奏をすることを想像したら、とてつもなくスリリングだった。いや、まさかこんな音でLIZARDはやれないだろう、これはあくまでSPEARMEN用でしょ?そう思っているうちにあっという間にラストの『RESET』を終えた。 ![]() ![]() III【LIZARD】MOMOYO with SPEARMEN 1. セレブレーション 2. ニュー・キッズ・イン・ザ・シティ 3. 亡命者 4. エイシャ 5. 王国 MOMOYO THE LIZARD are... ・MOMOYO(Vocal) ・K. MIZUSAWA(Guitar) ・R. YANAGIHARA(Bass) ・J. SHINOHARA(Drums) SPEARMENの押しまくる音に左耳が難聴気味になってしまった。ステージ向かって左側のベースアンプが目の前だったからか。いよいよ本日第1回目のLIZARD。シャツとネクタイをTシャツに替えてモモヨが登場。ライブ前にモモヨがBBSで「SPEARMENは真正面から初期LIZARDの代表曲をやる」と書き込んでいたので期待大だった。 水沢のハーモニクス和音が鳴り始める。ハーモニクスは徐々にヴォリュームを上げ歪み始め、シンバルも絡んでくる。まだ何の曲かわからない。そして篠原の4カウントとともに何やら音の固まりが飛んで来たようなイントロだった。ステージ上はストロボ風のライティングで目がチカチカ。1曲目は『セレブレーション/穴居人』だった。私の期待を見事に裏切ってSPEARMENは先ほどの自分たちの演奏をそのままLIZARDに持ち込んで来た。音の歪み具合が尋常でないベースに水沢のギターと篠原のドラムが一体となる。失礼な言い方かも知れないが、昨年12月のライブを見ていたのでまさかココまでやるとは思わなかった、というのが第一印象。その後は自分のボルテージも上がったので(笑)よく覚えていないが、SPEARMENの演奏が背後からモモヨをまくしたてる、そんな構図だった。モモヨのヴォイスはSPEARMENの乱暴な演奏にかき消され気味だったが、何とか1曲目を終えた。興奮した客席から「モモヨー!」とコールが起こる。前回のライブではそんな場面はほとんどなかった。 場内騒然とする中、水沢のギターで2曲目に入る。このアルペジオのラインも水沢オリジナルで、この時点では何の曲かわからないが、バスドラムが8を打つとそれが『ニュー・キッズ・イン・ザ・シティ』だとわかった。この曲は当時、シンセが抜け4人編成になった時にベースが主旋律をとるアレンジに変更されたが、この日のアレンジはほぼオリジナル通りだった。ワカさんの音は生で体験したことがないが、柳原のベースは何かワカさん時代のLIZARDの空気を再現してくれているようだった。 『ニューキッズ〜』のエンディングから間を置かずに『亡命者』へとなだれ込む。どの曲もLIZARD史上名曲とされるものばかり。水沢のギターがあのイントロのメロディを奏でる。モモヨのヴォーカルはまだフラついているし、バックの演奏に比べて弱い。が、負けじとサビで力強く歌ってみせた。多少メロディラインを外すが気にならない。これでモモヨも多少吹っ切れたようだ。 ![]() 全5曲、30分弱のステージが終わった。MOMOYO with SPEARMENというよりもむしろ「MOMOYO v.s SPEARMEN」といった方が正確かもしれない、そんなステージだった。ライブ後に水沢が掲示板の書き込みで明かしていたが、この日のMOMOYO with SPEARMENの演奏は、昨年12月の復帰ライブを見て「ちょっとな。これが俺たちが見てきたLIZARDだと思われるのは心外」と思い、SPEARMENの方からモモヨにアプローチしてあえて80年代初期までの代表曲で勝負してきたらしい。確かに当時を知らない、私のような新しいファンにとって、まさか『亡命者』とか『王国』がオリジナル・アレンジで聴けるとは思っていなかったから、SPEARMENに感謝したい。それに真正面から応えたモモヨにも。比較するのは変かもしれないが、考えてみたらかつてSTOOGESをバックに激しいステージを展開していたIGGY POPは、30年近くたった今でも当時の代表曲『サーチ・アンド・デストロイ』なんかを若手ミュージシャンをバックに現役バリバリで演奏してる。モモヨも変に枯れたりせずに、こういう音も続けて欲しい。 とりあえずここで前半戦が終了。とにかくSPEARMENに圧倒された。あっという間だった、というよりも1時間以上のステージを見たのと同じくらいパワーを使ったように体が感じた。 ![]() IV【ATP】〜silence & explosion 1. ALL TOMORROW'S PARTIES(Taata's acappella) 2. そして月がそこにあったわ(MOON SONG) 3. DERANGED ANGEL(CRACKED) 4. もしも貴方が 5. ジェニーの為に 6. 蜥蜴のいる風景(インスト) ATP are... ・Taata(Vocal/Keyboard) ・Mug(Guitar) ・Kohei(Bass) ・Kazz(Drums) 15分程度の休憩を挟んで後半戦スタート。この時、トイレを待つ長蛇の列に加わってしまったため、間に合わなかったらどうしよう、とドキドキ(笑)だった。ここでkei3さんやmoznomadさんに軽く挨拶「スゴかったですね〜」。前半戦の衝撃でしばらくボーっとしてしまった。 さてATPの登場。前回のLIZARDのライブで2曲披露したが、まだ実体がよくつかめなかった。この日はTaataが歌うアカペラの『ALL TOMORROW'S PARTIES』で静かに幕を開けた。ATPというバンド名とこの曲名をひっかけてか?深い意味はないとして、本格的には『MOON SONG』から演奏が始まった。SPEARMENが大音量で演奏し、柳原のディストーションの余韻が残るこの空間にATPも巻き込まれたようだ。前回とはうって変わってWildでRoughな音を出していた。前回と言っても2曲しか演奏していないが、MOMOYO with ATPの部分も含めて、バンドとして昨年12月よりかなり良い状態だ。ベースのKoheiがなかなかツボを押さえたプレイをしていたと思う。ギターのMugがステージ前面に張ったネット(サファリ調の演出?)にギターのヘッドを絡ませてしまい、一時はどうなるかと思ったが何とか脱出に成功。そうこうしていたらベースのKoheiが頭をグルグル回しながら演奏していたところドカっとコケてしまったりと。確かに演奏は前回ライブの2曲と比較して改善してたものの(『CRACKED』も今回の方がまとまっていた)、直前に演奏していたSPEARMENのインパクトにやや力負けしてしまった感がある。音もステージ上のアクションも混沌としていてCHAOTICなバンドだと思うが、本領を発揮した時はどうなんだろうか。ヴォーカリストTaataの実力もまだよくわからない。今のところ、まだハートにグっとくるモノを感じられない。今度LIZARDとは関係ないステージで一度見てみたいと思う。 ![]() V【LIZARD】MOMOYO with ATP〜explosion after silence 1. WHITE DRIVE Ver. 2002 2. ロボット・ラブ 3. 蜥蜴王の庭で〜岩石庭園 4. ラザロ 5. さよならプラスティック・エイジ〜We Are Still living in Plastic Age 6. メメントモリ DANCE To DEATH <アンコール> 7. 花のもとにて英霊は叫ぶ MOMOYO THE LIZARD are... ・モモヨ(Vocal) ・Mug(Guitar) ・Kohei(Bass) ・Taata(Keyboard/Chorus) ・Kazz(Drums) 一度メンバー全員がステージを降りた後、本日第2回目のLIZARD。Koheiのベースで始まった。AUTO--MODの『DEATHTOPIA』という曲のLive Versionに似たうねるフレーズ。途中まで何の曲かわからないくらい解体されたアレンジだった。白いドライブの高速Versionだ。リズムの解釈も変え、メロディを完全に排して低く抑えたヴォーカルが最後にシャウトする。なるほど、SPEARMENとは全く違ったこちらのLIZARDは、さしずめ現在進行形といったところか。 続いてMugのギター・リフで始まる。Taataのシンセ(novation)が鳴る。Koheiのベースにファズがかかる。こちらも聴いたことがないフレーズだ、と思っていたら『ロボット・ラブ』の高速Versionだった。ラモーンズがロボット・ラブをやったらこんな風になるかな、という軽快なパンク・アレンジ。前回ライブのオープニングもロボット・ラブだったが、何か線が細い印象があった。今回は見事に生まれ変わっていた。 次々と出てくる"新作"にあっけに取られていると、3曲目は静かな始まりだ。ちょっと長めのイントロを経て曲が現れた〜『岩石庭園』。ヴォーカルが少しヨタってきた。久々に何曲も歌い、モモヨも喉がつらくなってきたのか。間奏も長めで結局10分超のロングVersionだった。ここでMugがMCを入れる。モモヨが入院したことなど。モモヨはMCを挟まなかった。 続く『ラザロ』。私は前回のライブで一番良かったと書いた。本当に良い曲だ。ダーク調な曲が多い中で際立つ。もうちょいヴォーカルの表現力を強くしたら最高だろう。 相変わらずMCもなく淡々と続く。Taataのシンセ〜Koheiのベース〜Kazzのドラムスで始まる16のシャッフル調。『さよならグッバイ・プラスティックエイジ』の高速Version。先の『ロボット・ラブ』と同じ調子だ。この辺にモモヨとATPが志向するサウンドの共通項があるのだろうか。LIZARDの楽曲は大人しい(?)アレンジに変更されることはあっても、今回のようによりアグレッシヴに変容することは殆どなかったのではないだろうか?ここでやっとモモヨがひとこと 「じゃ、次が最後。・・・えっと、ジムを天国に返さない」 と私には聞こえた。静かな演奏をバックに何やらつぶやいている。当然内容は聴き取れない。後で判ったがポエトリー・リーディングで、数行の散文詩をもとにしたヴォーカルの即興だった。と、突然モモヨが吠えた。言葉にならない何かを発して。今まで聴いたことのないような声色で。バックの演奏もラウドになる。「生きるために人間を・・・」babylonic.comのモモヨ日記に概要が記載されていたので、ここに転載する; 大地の底に眠る野ざらしに、雫がひたひたひたと滴り、『かれ』が目覚めるところから始まる。『かれ』は大地に偏在する詩魂。ジム・モリスンでもあり、世阿弥でもあるモノ。彼岸に渡った者達の集合体。その『かれ』が、木の根を伝い、幹をつたい、枝をわたり、つぼみにメッセージを送り込む。桜の花々、花しべに、ひそやかなメッセージを託する。……花が満開のニュータウンでは、死をしらない、現世にしがみつく魂が健全な生を生きている。墓場のない町、死が存在しない、合理主義者の町。そこに花が降り、住民が追放した死の気配で町を覆う。詩魂のメッセージは、メメントモリ(死を思え)。花の下、死の舞踏に狂う少年少女に、いま、ここに生きている真の意味を思い知れ、と『かれ』はささやく。主題は、この世には無駄なものは何もない。つまり、今、ここに在ることを死の側から眺め、宇宙から自分達それぞれに委託された物を知れ、そういう感じかな。 当日の動画もサイトで公開されているのでチェックしてみるのがよいだろう。後になって見ると「ああ、こういう感じなんだ」と冷静になれるが、当日会場で見た感想は「わけがわからん」でした。ただ、やっと新曲を披露してくれたことに多少の喜びを感じた。 ![]() 「今日は桜が多分最後だっていうのに、みんな夜遅くまで付き合ってくれて・・・」 そしてMugもMCを続ける 「みんな多分、最初の頃のリザードを聴きたいかな、って思うんだけどモモヨ氏は終わってないんだよね、まだ。今、最近作っている曲で、多分本邦初公開・・・」 先ほどと違って、何か語りかけるようにポエトリー・リーディング+演奏が始まった。殆ど内容は聴き取れない。「復讐の〜」と歌ってたかと思う。こちらもライブ後に判ったことだが、このアンコール『花のもとにて英霊は叫ぶ』のテーマは北一輝(きたいっき)だったそうだ。『日本改造法案大綱』を著し2.26事件の精神的支柱となった人物。モモヨ自身の解説は、 渋谷で処刑された彼らの魂が、この地において、統制派というか今生を規格化しようとする者達、策謀をめぐらすもの達に、復讐を宣言するという内容。そして三島の割腹自殺を否定し、この渋谷に反逆の若き魂をあつめ、反逆のための反逆に彼らが力を貸している。渋谷の不良少年こそが彼らの現世における道具であった。 2.26事件(1936年)とは「陸軍内部で統制派との抗争のなかで次第に追いつめられていった陸軍皇道派青年将校たちが多数の兵を動員して首相官邸や警視庁などを襲撃」した事件(即席でたった今調べた(汗))。処刑されたのは、クーデターに失敗した青年将校たちと多大な影響を与えた北一輝。つまり当時、統制派との抗争に破れた彼等の魂が渋谷をたむろするヤンキーたちに乗り移って現代の統制派に復讐をする、というストーリー。現代の統制派というのは政府とか、我々の身の回りで規制を強化しようとする者達、か?とにかくそんな詩を、語りかけるように歌い出し叫んで、モモヨはそくそくとステージを降りていった。演奏はまだ続いていたが、ノイジーに乱れて終了。この曲もbabylonic.comで動画が公開されているので要チェック。 本編ラストとアンコールの2曲は、モモヨに何かが乗り移ったかのようだった。シャーマン的だったとも言えよう。もしくはジム・モリソン的とも・・・極東の島国に住む黒き蜥蜴の王。 (敬称略) |