LIZARD-α
PRIMAL TONE. #13 Live at LA.MAMA 2003.09.14


2月22日以来、7ヶ月ぶりにステージに立ったモモヨ。舞台はスピアメン主宰のシリーズGIG「プライマルトーン」、渋谷ラママ。東京アンダーグラウンドのストイックなロックバンド、スピアメンの手を借りたLIZARDの"復元作業"は2002年でほぼ終了し、2003年はいよいよ現在形のモモヨSoundをステージで昇華させる時と思われる。ただ前回2月の演奏はやや消化不良だったようで(私は見ていないが)、今回はある意味仕切り直しとも言える。

出演バンド
●MARBLE SHEEP
●ウージェニー・グランデ
●SPEARMEN
●LIZARD-α


LIZARD-α  set list
1. イントロダクション
2. メメントモリ PART2
3. サカナ ミレニアムバージョン
4. Do The Good Time Roll /なにしようぞ くすんで 一期は夢よ いざ狂え
5. 王国(私がはじめてビートの王国を垣間見た時)
6. トゥモローネバーノーズ
 (In The Beginig He said "LET THERE BE LIGHT")

LIZARD-α are...
MOMOYO(Vocal/Guitar)M 射手座
Mug(Bass/Guitar/Vocal)M 水瓶座 B型
Terra(Guitar)F 乙女座 O型
Taata(Synthesizer/Vocal)F 乙女座 B型
Kazz(Percussion)M 山羊座 B型
Kohey(Bass)M 蠍座 O型
Taku(Video Art/Keyboard)M 山羊座 B型
極限まで研ぎすまされた鋭利な刃物と頑丈なハンマーが交錯するようなスピアメンの演奏が終わり、トリのリザード登場。今回、オールドLIZARDファンが愛する80年代までの名曲の"再演"はいっさいなし。
まずMugのベースリフが淡々と続く『イントロダクション』。JOY DIVISIONみたいに暗いやつ。途中からTaataのVoiceが入る。単調な曲。そのまま2曲目の『メメントモリ』へ。この曲は昨年3月のラママで即興で披露したもので、今回は曲として構成をまとめてきたようだ。モモヨのギター(フェンダー製セミホロウボディのテレキャスター)ソロも長めにフィーチャー。ひどく偏ったイコライジングをしているか、ワウでコモらせているような音に聴こえた。肝心の歌の方だが前回同様、ウィスパー程度の発声による詩はほとんど聴き取れなかった。ベースの音が大きいのとVo.の周波数とぶつかっていたからか?モモヨが吠えるようなところは前回の方がド迫力があったような気がする。
次の『サ・カ・ナ』へ移るところでMCが入った。ゲームの「シーマン」が云々という余談。
ミレニアムバージョンと銘打たれた今回のサカナは公害の海で彷徨うイワシではなく、熱帯魚のイメージといえばピッタリだろうか、とにかく軽いノリでサラっと演奏。Taataのコーラスも更に軽さを演出。この後、再度MC。テイチクから10/1にリリースされる雑誌『DOLL』編集のコンピ盤『ゲット・ザ・パンク』(6枚組!)に『サ・カ・ナ』が収録されることについて一言。モモヨは詳細を知らないのかタイトル等は告知せず「・・・らしい」を連発していた。「頭脳警察とかいろんなバンドと一緒に入っているのが出るらしい」「もし良かったら財布と相談の上、買ってもイイかな?」「期間限定で出るらしいんで、えーっといろいろと何か俺と折り合いの悪いヤツもいっぱい入っているらしいんで(笑)」。
そしてHP上で予告されていた新曲『Do The Good Time Roll /なにしようぞ くすんで 一期は夢よ いざ狂え』。今いちど言葉の意味をおさらいすると、モモヨの日記には次のように書かれている;
なにしてるんだよ、そんなくすぶって(うじうじしてて)さ。この生は夢のようなもの。その夢を十分に狂え(いきよ)。
なぜあえて難解な古語をロックのビートに乗せて何かを伝えるのか、伝わるのか、という疑問は払拭されないまま曲はスタート。『イントロダクション』のようなMugのベースリフで始まる。上のフレーズの後、どこかで聴いたことがある西洋のロック・フレーズ♪〜Hello, I love you, 〜 のようなモノも耳に入ってきた。曲は2部構成で、後半は一旦テンポを落としてTaataがヴォーカルをとり徐々にスピードアップ。終わってみれば9分にわたる大曲だった。
ここでMugがギターに、ベースはATPのベーシストKoheyへチェンジ。モモヨのつまびくようなギターから『王国』へ。3曲目にやった『サ・カ・ナ』同様、淡々としたアンサンブル。渋くて大人っぽく上質なアレンジに聴こえる。『王国』といえば「♪死の国は近い〜」からラストのベース・ソロが1つの醍醐味でもあるが、その部分はカットされた。
間髪入れずにラストの『トゥモローネバーノーズ』へ。Taataの英語詩の歌。「♪イン・ザ・ビギニング〜」とくれば「There was rhythm!」はThe Slits(おっと脱線失礼)、この曲は「Let there be light」です。ギターのソロ・インプロヴァイゼーションが結構長くて8分超の長編だった。
以上、アンコールなし45分のステージだった。
ここまでに触れていない点を幾つか。全体的にはラママという狭いスペースで6人(+1)がそれぞれ楽器を持って鳴らしたら、やはり無理があるのでは?Terraのギターは殆ど聴こえなかったし。どちらかというと、スタジオワークで完成させてからステージを見たいバンド構成、音楽コンセプトだったと感じている。それからビデオアート。プロジェクターが持ち込まれたので「スクリーンは?」と思っていたところ、スクリーンではなくメンバーが立つステージに直接投影したが、狙い通りの効果は得られていたか?ビデオアートをやるなら同じ渋谷なら「青い部屋」あたりなら上手くできるかもしれない。
モモヨに関しては、演奏者としてのポジションは、昨年までのステージに比べてあえて前面に出ず随分引き気味だったと思う。そして今回のステージで、モモヨが目指す「歌、詩的なもの」と「音楽的なもの」をすべて同居させるのは困難なように見えてきた。詩的な部分はアコギ1本で弾き語った方が難解であっても伝わりやすいし、エレキギター、ベース、ドラム、シンセというロック定番のフォーマットの必然性はまったく感じない。一方でコンポーザー、アレンジャーとしてより新しい音楽的境地の開拓はそれとは別のベクトルで行えばいいのでは。最終的にその2つのベクトルが1つに交わって形になるのであればそれはそれでまた新たなモノを作ればいいわけだし。言葉で書くのは簡単だが、既にいろいろと次の一手を考えているモモヨのことだから我々が心配する必要もないだろう。
(敬称略)
SPEARMEN

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