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東京ロッカーズからRC、BOφWYまで 日本ロックシーンを撮り続ける 名プロデューサー ![]() インタビュー | 津島秀明(プロデューサー) 東京ロッカーズ生誕から日本のロックシーンを撮り続け、RCサクセション、BOφWYなどのライブビデオやアース・シェイカー、聖飢魔II、ラフィン・ノーズなどのプロモーションビデオを制作している津島秀明。ミュージックビデオのプロデューサーとしては日本の第一人者的存在だ。東京ロッカーズのムーブメンとからフィルターを通して感じたバンドのイメージやエピソード、そして現在の日本のロックシーンまで。映像を作っている人間の立場から語ってもらった。
取材・文/編集部 撮影/大西基
東京ロッカーズの頃は、昨日ギター持ったような連中がステージに立ってるんですよ。しかもオジさんが。これがロックだと思いました。 「もともとはフジテレビ系のドラマの制作会社にいたんです。その頃はまだ4つか5つ位の小さな制作会社に分かれていて、それがフジTV制作ということでプロダクションシステムから1つにまとまったんですよ。小さなプロダクションだとある程度のワガママは通せる部分があるんですけど、そういうこと言ってる人間は浮いてきちゃうんですよね。まあ、それで辞めたみたいな感じなんですけど」 「そうです。その時の退職金が30何万円出て、それで1ヶ月食ってもしょうがないから、いっそ16ミリの映画でも撮れないかと。でも、ビデオはやってきたけどフィルムなんていうのは全然知らなかった。それでテレビ時代から情児(井出情児/写真家)とかと知り合いだったんで相談に行ったんです。そしたらワーナーにいた山浦君が会社を辞めて六本木に「S-KENスタジオ」っていうのをやっているっていうんで見に行ったんです。そしたら昨日ギターを手に入れたような人間がステージに立ってる、しかもボクらと同じ位の年のオジサンが。その頃の主流の音楽っていうのはリー・リトナーみたいな技術優先型の音楽だったんですよ。ボクはもともとリバプール・サウンドとかサイケデリックとか聞いて育ってる人間だから、“あっ!これが本来のロックだ。これでいいんじゃないか”って思えちゃったんです。’79年の年末から80年の正月にかけて撮って仕上げたという。結局200何万ぐらいかかって、その借金を返すために情児なんかと一緒に音楽プロモーションビデオを作った。それからズーッとやってきたというパターンですね」 「ムーブメントのパワーっていうのは確かに感じていました。だけどムーブメントとしてはそんなに持続性がなかった。起爆剤としてはあったけど。だからボクらが撮ってる最中にCBSとかビクターのプロデューサーが手を出してきてムーブメントがどんどんからめ取られ始めてヤバイなって思ったんです。ただピストルズにしたって結局は起爆剤っていうか、もう1回原点に戻ってみようということだったと思うんです。だから、そういう意味では凄い重要だったって感じはしますね。 「東京ロッカーズ」の映画で一番つまらないって言われるのは“なんで音楽をやるのか”みたいな質問をしているところなんです。ボクは質問をしなくても答えは分かっていたんです。“力があまっているから”とか“ただやりたいから”だとか。それだけでいいんじゃないかと思ったんですよ。こういう奴らがいて単純にやりたいからやってるっていう一番ロックっぽいレベルのところをボク自身もう一回再確認したかったんです」 「あの撮り始めた頃は感じたんですよ。ところが撮り終わって編集に3ヶ月くらいかかったんですけど、その間に状況がもの凄い勢いで進んじゃって、例えばCBSやビクターがオムニバスを出したり、変な具合いに風俗としてからめ取られていった部分みたいな。例えばイギリスなんかだとメジャーなところがつかまえたら一つのバンドカラーをキッチリと出したアルバムを作りますよね。だけどそれが無かったんです。アーティスト自身のとらえ方をレコード会社は全然しなかった。だからある程度見えましたね。この人達が今後のミュージックシーンを担っていく、もしくは中核になれるかっていうと分からないと思いましたね。逆に悲観的だったです」 「フリクションもそうだけど、81/2とSSがボクは好きだったんです。SSはもの凄いパワーなんです。これは体力技だから真似出来ない。ギター弾けても弾けなくてもこれは凄い!!って風に思った。ステージに上がると異様なオーラが出てるってパターンで。上手いとか下手の問題じゃないですよ。カバー・ヴァージョンで「恋のテレフォンナンバー」があるんだけど、“リンリンリリン・・・・”ってあれを脅威のスピードで“ガガガガガガガ...”って演奏して1分半で終るっていう。あの恐怖のパワーっていうのは恐ろしい(笑)。だからSSがもうちょっとやっていれば俺は残るよって!!「消えてもどっかに残ってるって。81/2は若いのに音楽的にも結構細かくてパワーもあったのね。どのバンドもポリシーを持ってたんだけど、それにともなうだけの最低限の技術が81/2にはあったんで印象に残ってますね」 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ |
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