『SEX-US/白いドライブ』紅蜥蜴 (INSTANT RECORDS)
レコーディング(Live) 渋谷・屋根裏、1976.12.12
リリース 1977.2
収  録  曲
side-A SEX-US  (4’47”)
side-B 白いドライブ(5’36”)
メ ン バ ー
Vox & G. モモヨ
Guitar カツ
Bass ワカ
Drums ツネ
  • いまだにこのレコードを所有している人に会ったことがありません(涙)。ジャケット画像を大募集中です
     中期・紅蜥蜴の貴重なライブ音源。side-Aの『SEX-US(セクサス)』は、後にシティーロッカー・レコードからリリースされる『けしの華』に収録されるが、『白いドライブ』はこのシングルが唯一の公式音源となる。
     ヘンリー・ミラーの小説『セクサス』の想像的サウンド・トラック(『けしの華』ライナー・ノートより抜粋)というside-Aは、曲調こそポップで明るいが、まさに当時の「地下の闇に蠢く蜥蜴」たちをうまく歌っている詞。ちなみに「ヴァイオレンス それだけが生きがいさ〜」は、英国のグラム・バンド、モット・ザ・フープルのもの。
     それから『けしの華』に収録されているヴァージョンとは音の質感がかなり異なる。おそらく『けしの華』の方はモモヨ氏の手によって音質がクリアにリミックスされたのだと思うが、7’ヴァージョンと比べるとかえって音やせしてしまった感じがする。また7’ヴァージョンの方がギターのエフェクト(フェイザー)がよくかかっていて時代を感じる音になっている。あとトラック・タイムが異なる(7’ヴァージョンの方が35秒ほど長い)が、これは7’ヴァージョンが完奏しているのに対し『けしの華』ヴァージョンはフェイド・アウトしているからだ。
    ※ところで『けしの華』(CITY ROCKER = アナログ)ヴァージョンの『セクサス』は紅蜥蜴の演奏のバックで何か音楽がかかっているように聴こえませんか?ヘッドフォンで右チャンネルだけを大音量で聴くとよりハッキリ聴こえます。この『セクサス』右チャンネルの謎について解説サイトを作りました;
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     『白いドライブ』は紅蜥蜴時代のレパートリーでリザードになってからはしばらく演奏されなかったが、81年以降のステージで何度か演奏されている。曲は、ベースが同じフレーズ(リフ)を繰り返すなか静かに始まる。徐々にテンションが上がり、エンディングではカツのドライヴしたギター・ソロが炸裂。この7’の2曲は、カツが最も“弾いている”時期の作品といえる。後のニュー・ウェイヴっぽいプレイを考えると、ギタリストとしてカツはかなり幅をもったテクニシャンといえよう。詞の世界からはバイクでトバすBAD BOYが見える。
     レコーディングされたライブ会場は渋谷の屋根裏。『日本のパンクロック年表・写真・証言 1976〜1981』によると、当時はひと月のうち1回を除き毎週土曜日を“東京のバンド”に充てていた。紅蜥蜴ルージュプリズムが交替で月に1回ライブを行っていたが、紅蜥蜴は“ウェスト・コースト・ロック”に追い出されたそうだ。
     またこの時期は紅蜥蜴にとって正念場・・・“新しい方向を模索して苦闘を続けていた『蜥蜴の迷宮』”時期だった。長いキャリアがかえって出口の見えない状況を作りだし煮詰まっていた。レコードを出すこと自体、現状を打開したいという姿勢の現れだったと言えよう(このシングルがモモヨにとって初のレコード作品)。この屋根裏でのライブの後、メンバー全員が髪をバッサリ切ることになる。
     ライブ時期は、モモヨ氏自自身が『けしの華』のライナーに書いた「1977年2月」だと思っていたが、私が所有する「1976年12月12日・屋根裏」のテープには、この7’に収録されている2曲とまったく同じものが含まれているのでハッキリしない。リリースが「1977年2月」なのでそれ以前にレコーディングされていたと見るのが妥当だと思うが(現在確認中)。
     最後にオマケとして「1976年12月12日・屋根裏」のセット・リストを以下にピック・アップしました。未発表曲のうち中期・紅蜥蜴のダークネス、デカダンスぶりを堪能できる『いとしき悪徳』『ジュリエット』の歌詞をアップしたので、ご参考までにご覧ください。“I wanna be your dog”を日本語で歌ってしまうと、こうもスゴイとは・・・(汗)。
    ※曲名の部分をクリックすると歌詞のサイトが開きます。
紅蜥蜴 Live in 渋谷屋根裏、1976年12月12日
1. 浅草に帰ろう
2. いとしき悪徳
3. ロッキンドール
4. ギミー・シェルター
5. プラスティックの夢
6. キングダム(王国)
7. 黒い人形使い
8. 1984
9. セクサス
10. 白いドライブ
11. ジュリエット
左からヒロ、ワカ、モモヨ、カツ
('74〜'75年ころ)
12. BORN TO BE WILD〜GLORIA

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